歌詞は変わりゆき良くなる
「かえるのよまわり」という歌はご存じだろうか。
知人はそれをキャンプファイヤーで知った。手遊び歌なので動作と共に教えてくれた。
ところがその場にいた年配の方が(戦前生まれの方)その歌を知っていたのだ。(手遊びは知らなかった)。
しかし、歌詞が若干違っていた。
今、調べると年配の方が知っていた方が一般に知られている歌詞で、知人のはそのヴァリエーションだったようだ。
その場のノリや即興で歌詞を付け加えるということはキャンプファイヤーなどの野外レクリエーション場であった。
「大工のキツツキさん」という曲は途中の部分で手遊びが加わる。その部分をノリでどんどん付け加えたり変えたりするのを経験したこともある。その即興で場が盛り上がったことは言うまでもない。
インターネットですぐ調べられなかった時代なので(昭和の時代である)前述の知人のケースのように覚えた歌詞を口伝するということはよくあった。もちろん本から知ることもあったが、レクリエーションに使う歌集は手作りして作るということはそれ以上によくあった。
前置きが長くなってしまったが
本題の「森のくまさん」の話をしよう。
実はみなさんが知っている歌詞とは違う歌詞で私はこの歌を歌っている。(残念ながら小鳥は出てこない)。
理由は簡単。私が持っている本に掲載されている歌詞が、今一般によく知られているものとは異なるからだ。
本の名前は『ポケット愛吟集 改訂増補』昭和46年(私が持っているのは47年発行の3刷である)。ちなみに私は玉川学園との関わりはない。
(汚い本でごめんなさい。しかし私にとっては大切な本だ)
この小冊子の32ページに問題の森のくまさんがいる🐻
歌詞の転載はできないので、一般と異なる箇所のみ抜き出す。(小節は愛吟集の楽譜に依る)
1番。後半(7小節目から8小節目)「もりのなか」(通常は「もりのみち」)
2番。前半(3小節目から4小節目)「はやーく」(通常は「おじょうさん」)
3番。前半(1小節目から2小節目)「けれども」(通常は「ところが」)/後半(6小節目から10小節目)「トコトントントントントントントーン トコトントントントントントントン」(通常は「トコトコトコトコと、の繰り返し)
4番。前半(3小節目から4小節目)「ちいさな」(通常は「ちょっと」)
5番。後半(6小節目)「ララララ」(通常はラララ)
※これだけでは違いがよくわからないと思うので最初の一部だけの画像を。(画像の下の部分に輪唱・合唱のパートがある)。
(聴いたものから作成したのだろうか、現在広く伝わっている楽譜とはかなり異なる。たぶん音楽の専門家が今の作者さんの楽譜と比較すればいろいろ面白いのだろう。素人の私でもメロディと歌詞の対応の仕方を見てふふふと思った。)
前置きに書いたように、この種の歌は歌詞のヴァリエーションが沢山出てくるもの。多分愛吟集の方は耳で聞いたものを楽譜にしたのだと思うが…。既に何か原型があって、愛吟集の訳詞であったり小鳥さんの訳詞であったり現在作者とされる方の訳詞が出てきた…という方が私は納得がいく。
もっと想像を膨らませれば、ボーイスカウトか何かの活動団体のスタッフの誰かが原案の訳詞を作って、これは歌いにくいからこう変えようとかこう変えた方が面白いとか言いながらどんどん歌が変化しながら(改良されながら)口伝で伝わっていったのじゃないかと思う。
昔は(昭和は)著作権についてアバウトすぎる時代だと思う方も多いと思うが、そうでもあるが、そうでもない。キャンプファイヤーで歌われるものは「その場で歌われる歌については」子どもがみんなで歌うはやり歌(しばしばノリで替え歌が作られる)と同じ感覚で原曲がどうだこうだということに注意が払われなかっただけだ。
最後に「愛吟集」の奥付の画像を。
私はこの小冊子の方のくまさんの歌詞の方がおおらかで軽やかなのでこちらの方を口ずさんでいきたいと思う。